互 ‒ Traces of Time and Body
佐宗乃梨子 / 長谷川寛示
- 2026年01月10日 - 2026年02月08日
- 会場:Marco Gallery 1F, 3F, 4F
今回、長谷川寛示と佐宗乃梨子による二人展「互 ‒ Traces of Time and Body」を開催する。
本展を通して、私たちは生と死、そしてそこに必ず現れる時間と身体のありように向き合うことになるだろう。
現代において、私たちと生や死との距離はどこか曖昧になってしまっている。その結果、時間や身体というものとも、知らず知らずのうちに隔たりを持つようになっている。
長谷川は、丹念な観察を通して、花や植物を木彫へと置き換える。制作が進むあいだ、モチーフとなった花は次第に枯れていくが、木彫としての作品は完成へと向かう。そこには、植物の刹那的な美しさと儚さが、かたちを変えて留められていく。その関係性は、浪漫と呼ぶほかない瞬間を孕んでいる――それは、失われることを前提にしながらも、なお形を残そうとする人間の営みへのまなざしである。
長谷川は、自分自身が死んだ後も作品は残り続けると語る。花、木彫、そして作家自身のあいだには、過去から現在、未来へと時間が重なり合う関係が生まれている。そこには、生と死が断絶するものではなく、層のように積み重なっていく時間と、人の手が介在した痕跡が静かに刻まれている。
一方、佐宗は、幼少期の記憶を手がかりにしながら、ゾンビや神話といったフィクションを通して、私たちが生きている現実を映し出そうとする。彼女は、ガラスや鉄、ワックスといった素材を用い、ゾンビや神話的な裸体像などをモチーフとした作品群を制作している。
それらの作品は、ゾンビという存在を通して、死してなお生の痕跡を引きずる身体を想起させる一方、裸体や性交を捉えた像においては、新たな生の始まりと同時に、その先に不可避的に続く死の存在を意識させる。生と死は対立するものではなく、常に互いを内包しながら共存しているという感覚が、物語のように立ち上がってくるのである。
同時に、作品には、制作過程で生じる重力との拮抗関係や、作家が素材に直接触れることで生まれる指の痕跡が残されている。これらは、イメージとしてのフィクションに留まらず、身体を介した行為が確かにそこにあったことを示しており、作品に強い現実感を与えている。
フィクションとノンフィクションが同居する佐宗の作品は、虚構を通してしか語り得ない、生と死の真実を私たちに突きつけようとしている。
本展において、長谷川は現実世界を、佐宗は空想世界をそれぞれの起点としながら、私たちにとって普遍的な命題である生と死、時間と身体の関係性に、あらためて触れるきっかけを与えるはずである。
